発行・ライブハウス/渋谷アピア
アコースティック情報誌 Vol.97 2005.4月号


「再起動!」
ハイロ・シネマ上映会
木村和代

  陽のあたる日曜の午後に、上映集団ハイロは再起動します。パソコン使いのデザイナーは仮の姿、フィルムと夜な夜な怪しくたわむれる鈴木研究所所長、鈴木宏忠が今年もキャッチ−なチラシを作ってくれました。キャッチ−?… 今年こそはチラシをみて来たよっていうお客さんがわんさか来てほしいです。「あたふた」読んだよっていうお客さまは大歓迎です。
 渋谷の老舗ライブハウス「アピア」で30年以上活動している上映集団ハイロって何?って、まぁ想像できませんよね。そんなものです。ハイロは(上映会)というのが判断材料になりますよね。でも考えてみて下さい、ライブには時間が存在します。上映もそうです。その時間の中でどんなリズムが刻まれるか。音のない時間、舞台に立つ者の呼吸も、闇と光が舞いつくり出される照明もリズムを持っています。映像もリズムと深い縁があります。
 作品を上映する時、自分の鼓動で押しつぶされそうになります。いまだにそうです。観客の頭上を通過してステージのスクリーンから、スピーカーから空間に甦る様を、じっと堪えて過ごします。自分の身体すべてが細胞となり、空間にひろがって浸透して行くような、そんな時間です。
 作品のジャンルやスタイルは上映会そのものを表すものでしょうか?なんでも上映するハイロの時間は、どんなものでも観客として受け止めて、その人の言葉で語られてこそ成立します。受け止め方はいろいろ。拒絶したらなぜそうなのかを言うまでです。「おもしろい」「つまらない」の言葉の裏にどれだけ自分が存在するか。いろんな作品に出会って、それに対してどれだけ自分の言葉で語れるか。「わからない」という感覚はなんなのか。ハイロのメンバーは観客として先頭に立っていろいろ言います。それを聞きながら自分自身のリズムを感じてください。心が揺れることは悪いことではないんですよ。感情のストレッチにぜひいらしてください。
 3時間の貴重なひとときに、ハイロの目玉コーナー「鈴木研究所」が各月すべてに存在します。同じハイロのメンバーですがこのコーナーの大ファンです。昨年より助手としてスナミ君が入りパワーアップ!音楽でいうと<ギターの弦をピックじゃなくてしゃもじで!それも木製だ!とか、弦にそれぞれ着色すれば指で押さえなくてもコードが奏でられるんじゃないか?塗る厚みや色とかで!>みたいなことをフィルムを使ってやっています。実際にスナミ助手がフィルムを配りお客さんも研究に参加できる「フィルムピクニック」もありお得度満載。
 映像で作品つくったらスクリーンで上映してみよう!誰でも応募できる無審査上映プログラム、「ここにも作家」コーナー。ハイロメンバーの名前が記された月コーナー。メンバーのコアなこだわりにドキドキです。
 再起動。21世紀になってもアニメでみたような巨大ロボ出現までまだ時間があるようです。ハイロの形はじっくり進化しています。







5月15日(日) 昼の部

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