発行・ライブハウス/渋谷アピア
アコースティック情報誌 Vol.126 2007.9月号
nezi-maki、早くも'00年代のシーンを総括
(nezi-makiのkemu-maki潜入ルポ)
愛する店長さん、ありがとうございます。一度こういう企画、やってみたかったんですよ。みんなもそうだと思う、ここらで総括しときたい2000年代を!
まず断っておかなきゃいけないのは、僕ほんっとうに2000年代を過ごせてよかった!てこと。どの年代もそう?いやっ00'sだけは違うでしょ。まずブームがいっぱいあった。洋楽ではガレージブーム、エレクトロクラッシュ、グライム、ニューウェイブリバイバル!長ーいギターロックブーム。面白いのがいっっぱいでてきたね。カサビアン、キラーズ、リバティーンズ、遡るとストロークス、あ、ザ・ハイブス(!)。みんなギター弾いてさ、全然とりえの無い曲もニューウェイブっぽくしてあると新しいの、みたいな。充実してたね!アークティックモンキーズ。フランツフェルむにゃー。
本題はやっぱJロックだ!ワガ日本のロックの7年を顧みよう!感慨深いね!「ナンバーガール解散してサンボマスターにハマってるんだよね」「おれくるりからアジカン」こういう会話を聞くと、爽快だ。普段着のロック若者のリアル、焦燥感!そういうのみんな意識的に取り組んで。談合でもしたようにゴリゴリベースとジャガジャガギターが似たようなコードで走って「あぁ、ありふれた日常にすばらしい出会いが!」て震え上がる俺。風とロック。ロック復権。KID A、POINT、HIGHVISIONへの評価は何だったのというくらい雑誌もロックの新風を取り上げた!「インディーズ」!下北!あと日本語ラップも成熟期ね。ポップシーンに食い込むようなストリート代表。リップ、ケツメ、湘南の風。みんなもっと売れて欲しい、みんなSOLDOUTして欲しい。
とにかくいい作り手、批評、聴き手、三拍子揃った時代だったんだと思うんだよ。ポップシーンも充実してて、ていうかポップとかアンダーグラウンドとか無くなっちゃってさ!どろどろだよ!ゲロみたいって言ったらたとえが変か!とにかく最高!木村カエラはポップ(!)でパンク(!)。あと「FUNCLUB」聴いた?実験的(!)。なんていうか、シーン全体にいい曲(!!!!!!!)多くて、最高!
それに比べてさ、小沢健二のアルバム聴いた?何かアレだったよね!斜に構えちゃってさ、生演奏と編集のバランスとか、音の粒立ちとかコード感とか、全体を覆う凛とした透明でポジティブな空気感というのかな、あぁいう、人と違うことするのやめて欲しいよね、ホントみんなの動きを見ないで多勢に構わずに音楽作るやつにはまじでうんざりする!アニマルコレクティブとか、コーネリアスとか。砂原良徳とか。うー。ほんと「ポップ」で「パンク」な音楽だけの世の中になって他の音楽は虐殺みたいにしちまやいいんだ!!
ただ少し残念なのは2003年あたりから新しい音楽聴いてもドキドキもワクワクもしなくなったこと。せっかく「ポップ」で「実験的」で「パンキッシュ」で、あるいは「最高」だったとしても、それだけ。何も無い。その同時代に生きてる。2000年代のPOPでROCKな音楽たちは「音楽なんか意味無い」ということを伝えてくれた。ありがたい。音楽なんて金使って何となく形にして色つけて(「ニューウェイブなアルバムです」とか)何か「やった」みたいに見せるだけの代物だ、と教える。生活を楽しくするとか、恋するような気持ちになるとか、凍り付いている何かを、溶かすとか、音自体のきれいさにうっとりするとか、リズムのうねりにわくわくするとか、記憶とか、心が震えるとか、嬉しいような悲しいようななんともいえないぅぅ、そういう気分になるとか、そういうことはお門違いなのだと、教えてくれる。それなら仕方ないと今日もnezi-makiは音楽じゃないものを作る。もう音楽は死んだから。音楽じゃないものを今夜も作ろう。ありがとう00年代。さようなら。
(nezimaki:9/27千駄ヶ谷looplineにて電子音ライブ!
10/11アピア歌激specialに出演!)
P1
P2
P3
P4
P5
P6