発行・ライブハウス/渋谷アピア
アコースティック情報誌 Vol.114 2006.9月号
「どうしようもない薄明」

〜石塚俊明「ドラム・ドラマ」に〜
小池真司

そこはいつでも
どうしようもない薄明なのだ

人影は何処かから現れ
この荒地を横切り
ボロボロの法衣を引き摺りながら
ただあの黒い小屋で読経を繰り返す

汗と精液の臭いにむせび
自らの臭いにむせび 自らをひとつの悪夢として
あらがいながら読経を繰り返す時
既に世界はあの地平の向こうで滅びたのかもしれぬ
(荒地には一面の 嘆きの壁の瓦礫)

全てが赦されて なお 全てが問われているために
男は薄明の底で静かに狂っていく

両手を広げ仏具をふるわせ
何か聞いたこともない恐ろしい音を
刹那に滅しては顕れる岩石の
その形成と破滅の音を
太陽と月以前の薄明に棲む
あらゆる獣のかたちの音を
どうしようもなく
放ちはじめる

待望のNEW ALBUM
ドラム ドラマ 石塚俊明
全5曲 PSFD-165 
\2415(本体\2300)


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