「どうしようもない薄明」
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〜石塚俊明「ドラム・ドラマ」に〜
小池真司
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そこはいつでも
どうしようもない薄明なのだ
人影は何処かから現れ
この荒地を横切り
ボロボロの法衣を引き摺りながら
ただあの黒い小屋で読経を繰り返す
汗と精液の臭いにむせび
自らの臭いにむせび 自らをひとつの悪夢として
あらがいながら読経を繰り返す時
既に世界はあの地平の向こうで滅びたのかもしれぬ
(荒地には一面の 嘆きの壁の瓦礫)
全てが赦されて なお 全てが問われているために
男は薄明の底で静かに狂っていく
両手を広げ仏具をふるわせ
何か聞いたこともない恐ろしい音を
刹那に滅しては顕れる岩石の
その形成と破滅の音を
太陽と月以前の薄明に棲む
あらゆる獣のかたちの音を
どうしようもなく
放ちはじめる
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待望のNEW ALBUM
ドラム ドラマ 石塚俊明
全5曲 PSFD-165
\2415(本体\2300)
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