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血管の中を駆け抜ける赤血球や白血球のように
この世界の住人は、それぞれの名前を携えて
今日も明日も機能的に、
それぞれの枠組みの中をぐるぐる回り続けている
つまりそれは、この世界から抜け出す出口なんて
何処にもないということだ
たとえ、自分自身がまったくもって何の役にも立たない存在だと思えても だからといって、早まるな
逃げ出すために、まったりと手首をナイフで切りつけてみても
そこから溢れだしてくるものは、情熱でもなければ、小説のテーマでもない
僕の存在は、もっと大きな空間に囲まれているという真実だ
それは君にだって当てはまる
だけど、君がどうしても逃げ出したいと望むなら
とっておきのやつを一回だけ
僕は小便くさい君の代弁者になろう
心配するな、これは薬物でもなければ、吐血でもない
虎穴にいらずんば、虎子を得ず 地雷を踏まないように見えるものだけに固執せず 風邪をこじらす前に、木枯らしを追い風にして 言葉が流動する血液に変わるまで奏でるプレリュード 怖気つかず、出し惜しみなく言葉を放ち こじあけるために、恥じらいもなく沈黙でじらす
君はだまっていられるかい?
そして、どうか、善良で、健全な場所で笑顔をふりまくこの世界の住人よ 一晩だけ、受け止めてくれませんか、僕の言葉を まだ、部屋に差し込んでくる朝日の暖かさを意識できるのならば その狂おしい感受性を隠す胸のあたりを突き抜けてゆく 夕日の光が背骨に突き刺さっても
まだきらめき返すやわらかさを兼ね備えているのならば
お願いだから、この僕に
無防備のまま過ごせる安らぎとやさしさを与えておくれ
僕だって微笑みたいのさ、できるだけ無邪気に だって、かつては、僕だって、満月のように 光に満たされていたような気がするから だけど、今じゃ、何度、思い出そうとしても、僕にはその大切な記憶が見つからないし 真夜中に、時間という概念が動かしている壁時計の針の音に気づいて ざっくりと目を覚ましたのも、眠りに満たされたわけではないんだ カレンダーが、ぬけぬけと太陽系を平面で描こうとしていることに気づいて 吐き気を覚えたからさ
肌が、かさつく月曜日にはじまり
喉が渇き始める火曜日を逃げるように
曖昧な不安を覚える水曜日の夜に眠りに堕ちて
機械的に働く木曜日の白昼夢にうなされたあとに味わう
希望の破片をかき集める金土の安らぎは
金銀銅のメダルよりもきらめくから
潤いに飢えていた僕は日曜日の終わりに
衝動的にけだるさを覚えるんだ
そんな日々を、繰り返し、振り返り、ぶり返すから、
僕の心は、ヒビ割れて、もうとっくに、季節を確かめようなんて発想は どこかへ吹き飛ばされてしまっているんだ
ところで、今は、夜中か?夜明け前か?
それとも夜が始まったばかりなのか?
そうさ、もう、僕には、瞬間しかないんだ
他には何も見つけられないんだ
だけど、手遅れになる前に早くしないと見つかってしまうんだ
廃墟の町からやってくる辛辣な刺客が僕の背後を狙っているんだ
あいつらと目があったら、もう最期 土下座して謝っても、
細胞が悲鳴をあげる暇もなく殺められて、一巻の終わり
そう、彼らは、ハニワのように無表情のまま近づいてくる殺戮のマニア マリア様にも、見切りを付けられたアスファルトの砂漠に潜むサイドワインダー それでも僕には、隠れる場所なんて何処にもなくて あるのは、いつも祈りだけだったから 僕は、日が暮れたあとにやってくる闇の中で、まるで病み上がりのようにぼんやりと そして、時々、道なき道で躓くように屈折するローソクの炎だけを見つめた
彼らと目を合わさないように、
僕はローソクの炎だけを眺め続けたんだ
そして、救いを求めるように、炎の中に夢を探した
ずっと、ずっと、ずっと
だけど何もみつからなくて 思わず、ため息をついたら、
炎が、慌てふためくように、ゆらゆらとゆりかごのように震えて
突然、ローソクの炎を灯しているヒモが、 へそのお緒みたいに見えたんだ 透明になっているロウはまるで羊水のようだった
ああ、ああ、ああ、 そうさ
善良で、健全な場所から遠ざかり侘び寂びを忘れそうになっている君よ 一晩あれば、ビッグバンは起こせるんだぜ
そう、欠落こそが、本当の魅力を際立たせる
それを知ったときあの日から 僕の言葉は、飛躍的に躍動して、
僕の精神は実体のない宇宙にすりかわった
そして、稀にみる精神の拡散によって まだ見ぬ世界に堕ちて行く 流星群の光の瞬きによって芽生えたひらめきで覚醒のあとに、
僕は、閉ざされた世界には存在しない
君が持っている君の可能性だけを糧にして 火を灯す術を覚えた そして、すぐさま、僕はさそり座のとなりに僕だけの星を見つけて、
その星に僕だけの冥王星と名づけた
水平線も地平線もない紺碧の空の下で それからは、たとえ、目の前に拡がった景色が 求めることも、拒むことも、ただ単純に鬱陶しくて、
面倒くさい湿った空気に包まれても
沿道に咲く花のように、僕だけの冥王星は、
何時だって僕自身をなごませてくれるんだ
もちろん、これは、あくまでも、僕の話だ
だけど、君にだって当てはまる きっと
だって、そうだろ?
僕たちは そうだよ
時の流れの早さに驚くことにも もう飽きてしまったのならば、 ここはじっくりと腰を据えて、 僕という景色が、君という景色が、 一人の人間として大地に根付くまでののろさにひれ伏しながら 今ここにある磁場に現実と理想を中和させて、 いまだかつてない鼓動に支えられた永遠を手にいれようぜ 過去の記憶を手繰り寄せても 生まれてきた瞬間の記憶まではたどり着けないくらい僕たちは 成長しながら退化してきたんだから
未来を鷲掴みして、
世界中の誰よりも朗らかに計り知れないほど短いまばたきをして
ためらいもなく今ここに漂っている静寂を抱きしめようぜ
それからでも、遅くないだろ、ただ酔って楽しむために酒を飲むのは
そうさ、なんだかんだいっても、知恵を絞れば、
言葉がしたたることを僕は体で知っている
でも、雑巾じゃないんだ 頭の中は
蛇口を捻れば、水が出るように 口を開ければ、感情が溢れ出すんだ
それは心が直結しているからだ
それでも、静寂の中で色鮮やかな羽根を広げる 孔雀の本音なんて誰にもわからない 眠りに落ちることで眠りから覚めようなんて建前だけでは、
すべてを守りきれるわけがない
それでも、夜空は、光を看取るように認めるから
闇は、いつだって徹底的に美しいのだ
しかし、人生に必要なのは、美しさよりも、麗しさだ
だから、さあ、しなやかに滑り出そうぜ
思い切って、ああ、ああ、ああ
もしかしたら、こんな感じだったのかもね、生まれてくる瞬間って
もしかしたら、こんな感じなのかもね、他界する瞬間って
繰り返し、繰り出すことを、繰り返す
そして、均等な距離に 置かれているハードルをコンドルのように飛べない僕は飛び越える 飛び越えて、飛び越えて、鳶のように飛び 僕はひと思いに、この詩のビートで 殺し殺される前に、人々の心の扉を叩く
ああ、ああ、ああ
まるで、君は静止画像のようだ
じんわりと静かに回っている僕だけの冥王星にそっくりだ
繰り返し、繰り出すことを、繰り返す そして、恐れずに出会っていこう 心配するな、僕のふるさとは、新しさとか古さとは無縁の場所にある
つまり、僕自身だ僕はいつもここにいたのだ。
そして、これからも僕はずっとここにいるし 今後は、君が僕をみつけるためのしるしにもなるのだ。
確かに、これは、あくまでも、僕の話だだけど、
君にだって当てはまる、絶対大丈夫 だって、ここは
僕たちは
そうだろ?
そうだよ! その通りさ!
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