詩の部屋TOP 椿 詩/曲・飯浜裕樹子
椿 四つの頃の庭
 椿 首からぽたり墜ちた
 遠くのお山は日に因り見え隠れ

 早う寝ん子はお山に連れて行かれるの
 だけどね あたしよう眠れん
 だから連れてって お山連れてって
 あの山のてっぺんならお星さまに手が届く

 椿 空がまだ遠い頃
 椿 一番星はまま


 雨が降っても逢いに来て
 雪が降っても迎えに来て
「我が儘だけど愛してる」嘘ばっかり
夜半に急に淋しくなって泣き出したの
 どうして? 何か足りんみたい
 開け放った窓から私覗くのは三日月
 あの月の見えん処に私の足りんものがある

 満月の夜はままのように
 私の髪を撫でてよね


「お見舞いに椿を持って来てはいかんのよ」
 雪の中咲いてた椿あんまり綺麗だったから

 ごめんね 私好きな花
 手折ったのは私の指
 椿 空がまだ遠い頃
 椿 一番星はまま
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