詩の部屋TOP 懐かしの午后三時 詩/曲・飯浜裕樹子
夏は深まる蝉は呼ぶ
鎮まり返った昼下がり
陽炎立った路の上おひさまゆらゆら揺れている
蝉啼く声に汗ばむ昼下がり

白い日傘の影の中
白い木綿のシャツ湿る
金魚掬いの子供たち私に気付かず走り去る
宙泳ぐ魚だけが私に気付く

此の世の者なのかどうかさえ
判らなくなる程暑い夏
覗き込む池午后三時
私の遺影も歪んでる
垣根に巻き付く 昼寝る朝顔
遠退く鈴の音 風鈴いかが
夢のような現 現のような幻
忘れないでね 風鈴なびく

真っ白でなんにも見えない日射病
木陰で気付けば碧い空
薄目開けては眺めてる無邪気に走る少年
今私が消えても誰にもわからない

此の世の者なのかどうかさえ
判らなくなる程暑い夏
覗き込む池午后三時
私の遺影も歪んでる

私の遺影も歪んでる
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