詩の部屋TOP 川に映る樹々そして僕 詩/曲・飯浜裕樹子
まるで助けを求めているみたいに
街路樹が空に向けて手を広げている
排気ガスにすがれた黒い幹は
それでも春に芽吹く命抱いてる

ところがその下を歩く僕ときたら
内側から段々死んでゆくようだ

助けを求めているのはあの樹ではない
そこをゆくこの僕だ


暮れ初む空を暮れ切ってしまうまで
見届けても尚帰れないでいる
雨宿りに入った軒下から
やっぱり晴れても尚出られずにいる
目醒めても目醒めても夢から醒められない
悪い夢ばかりだから眠るのが怖い

助けを求めているのはあの樹ではない
そこをゆくこの僕だ


流れる川はいつもいつもいつまでも
立ち止まることをただ怖がっている

川に映る樹々そして僕
泣いてなんかない でも歪んでる

小石で川打ち 波紋で壊す
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