詩の部屋TOP 雨のない台風の夜
詩/曲・飯浜裕樹子
雨のない台風の夜
風だけが吹き荒れていた
屑籠倒れ塵舞い上がる
ビニール袋雲居に惑う

帰れないのか帰らないのか
駅前ベンチに座っておじさん
いつまでもいつまでも
白いハンカチ風にはためかせた


丸めた背中膝に肘付いて
ハンカチの端と端持って
終電も終わりぼんやりと
ただ大きなハンカチ舞わせてた
それは丸でおじさんが
もう沢山だと
見えない何かにいつまでも
白い旗を振っているようだった


雨のない台風の夜
おじさんはいつまでも
白い旗を振っていた

雨のない台風の夜
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