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詩/曲・飯浜裕樹子
彼女は云いました
私は捨て猫だ
道往く人が拾いあげ
かわいそうにと頭を撫でる
でも飼えない、ごめんねと
一頻りかわいがって
又元の場所

彼女は云いました
私、捨て猫なんだよって
誰も飼う気ないくせに
一頻りかわいがる
自分だけいい気分
飼えないくせにかわいがる


彼女の狭い部屋
かろうじてある窓の上
無理矢理のクーラーで冷えきってしまった
気配に気付いて彼女は外を見る
唸ってる室外機から川が流れてた

月夜に光る危ない水を
猫がうまそうに飲んでいた
追い払うのが精一杯
おいでミルクお飲みなさい、なんて
できなかったよ、だって
どうせ私飼えないもん

忘れよう気にしない
どうにか上手くやる筈
下手な情けなら要らない筈だろう
でも似てる気にしてる窓にへばりついている
そろそろと手を伸ばし猫に触れてみた

甘えた仕草の猫に
爪立てられ手を引いた
滴る赤い血の匂い
クンと嗅いで舐めてみる
こんな私にもまだ
赤い血が流れてた

せめてまんまるい月よ
優しい色で照らしてよ
野良猫と捨て猫で
今宵優しい夢見よう

彼女は云いました
彼女は
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