駅前デパート
久慈「駅前デパート」
7/4 久慈UNITY

またまた気紛れの「ぼくの細道」の始まりです。


どうせすぐ中断すんだろうって思ってるよね。そうです。きっと中断します。ぼくもそう思ってます。だから悪しからず。

「夏が来た!」

ああもう7月だ。熱中症の夏が来た。地獄の季節の到来だ。いつから夏が嫌な季節になったんだろう。

ヒートアイランドのせい?年とって体がボロくなって暑さに耐えられなくなったせい?地球温暖化のせい?汗臭い人間関係が生理的に胡散臭いと感じるせい?クーラーの人工的な涼しさに頼らざるを得ないのが不快なせい?

汗をかいたまま、冷房の効きすぎた電車にのった時の居場所の無さ。露出狂と言われようが、人混みの電車の中で裸になって着替えたい。女子高生が化粧直しをするように。

ま、そうもいかず、トイレの付いた新幹線でぼくは、さっそく汗でビショビショになったTシャツを着替えた。

7月になって最初のツアー。よりによって今日から真夏日だ。朝の10時すぎだというのに、体感温度はもはや30度を越えている。 ギターケース2つにデカいキャリーバック。優雅な旅姿とはほど遠い。

その上汗だくになって中央線を乗り越えて?やっと東北新幹線にたどり着いた。 八戸行きの「はやて15号」。ぼくは二戸駅で降りてバスに乗り継いで、今日の目的地、三陸の久慈に行かなければならないんだ。

トイレで着替えすっきりしたぼくは、あっという間にシートにもたれこんで寝入ってしまった。殆ど徹夜気味で家を出たせいもある。大好きな魚づくし幕ノ内駅弁も食わずに夢の中。

ぶすのこぶ

銘菓「ぶすのこぶ」
UNITY

ライブハウス「UNITY」


社内アナウンスで目が覚めた。えっ、もう盛岡を出たの?危ない危ない。もうすぐじゃん、二戸は。乗り過ごしたら終点八戸まで行ってしまう。

「久慈銘菓『ぶすのこぶ』?」

二戸駅を降りると、駅前のバス停から久慈行きJRバスに。約一時間ちょっとで目的地に着くらしい。

北上山地の最北端の山あいをぬって、クネクネと続く道路を走るバスの車窓から、濃く色づいた緑だらけの風景をボーっと見つめてた。うわあっ、あちこちに満開の花を咲かせる野生の栗の木が。

栗の花の匂いは人間の精液の臭いにそっくりなのだ。田舎にいたころ、梅雨のジメジメした暑さのなかで、プーンと匂う満開の栗の花の臭いに、思春期の興奮を感じていたのを思い出した。

山影が少なくなってゆったりと流れる川沿いを走ってるバスは終点久慈駅前に近づいている。 と、道端に立つ電信柱に延々と貼り付けられた久慈銘菓「ぶすのこぶ」。ブ・ス・ノ・コ・ブ?なんちゅう名前だ。 いったいどんなお菓子なんだろう?ぶすのこぶ。
下校途中の、全員青色ジャージを着てヘルメットをぶった小学生の群団が、信号待ちのバスの脇を通り過ぎて行った。

バスは人影の全然ない久慈駅前に着いた。降りた乗客は9人。
最後に降りたボクは、誰もいなくなった駅前のベンチで、しばしタバコを一服。ふわぁぁ、暑い。温度計が31℃を指している。 目の前には鄙び寂れたビルの「駅前デパート」。デパートという言葉がレトロに沈んでく。 人影はゼロ。じかじか照りつける夏の日差しが妙に乾いて、まるで砂風舞う西部の荒野のゴーストタウンに降り立った、クリント・イーストウッドの気分だ。

と、その「駅前デパート」の筋向かいの閉店した喫茶店の屋根に、あの銘菓「ぶすのこぶ」の大きな甲板が。うーむ「ぶすのこぶ」。


千草

ラーメン「千草」


ラーメン


「ラーメン『千草』は超旨い」

すると一台の車が止まって、今日のライブハウスの「UNITY」オーナーの小田さんが迎えに来た。

「UNITY」は今回2回目。初めて来たのは去年の3月。まだ冬の明け切らない寒い日だった。

だだっ広い商店街の大通りは人影まばらで、あちこちの店にシャッターが降りている。 こんな寂れた田舎町(失礼っ!)にライブハウスなんかあるのかと思ったら、楽器屋の2階に秘密基地のように隠れていた。 しかも夜になると続々と熱い客が集まってきたのだ。いやあ素敵な二重人格な街ですね。

熱かったのは客だけでなくマスターの小田さんも。クールな物腰とは売って変わった熱いロックに対する思いを秘めている素敵な二重人格者だ。

ボクは久慈がいっぺんに大好きになった。

しかもこの街には超美味いラーメンがある。テレビのラーメンコンクールでもグランプリを穫った「千草」。あっさり醤油味なのに深いコクのあるスープと ちぢれ麺。ひと口食べたら、それだけでも久慈に来た甲斐があったと思った。



海老天ぶっかけ蕎麦

海老天ぶっかけ蕎麦


リハが終わってまた食べに行こうとウキウキ言ったら、残念ながらあそこは3時で閉店です、と。1日4時間しか開いてないんだと。
ああ、、そうだったあ。着いてすぐ行けば間に合ったのに!!

あまりの落胆にマスターは、なかなか美味しい日本蕎麦もあるんですよ、と麺好き男のボクの心をくすぐった。 行きましょう、そこに。

車で10分ほど走った郊外にたたずむ手打ち蕎麦屋「鬼は内」?鬼は外じゃないの?やっぱり二重人格だ、久慈は。 海老天ぶっかけ蕎麦を食べてボクは、ラーメン「千草」の残念さを忘れて満足してた。

ところでマスター、腹ごしらえ充分で始まった戦闘開始、いやいやライブは満足していただけたでしょうか?


小田さん

打ち上げ記念写真(右2が小田さん)
ロケッツ

打ち上げ会場の「ロケッツ」


打ち上げは「CAFE ROKETS」で。アメリカンな店なのにわざわざ用意してくれた三陸名物ホヤのぶつ切りは最高だった。 今度久慈に来るときは絶対ラーメン「千草」を逃さないようにしなきゃ。

泊まったホテルのあったポスター

泊まったホテルのあったポスター