7/5(月)富士   東海道新幹線でどの車窓の風景が一番かといったら、やっぱり富士山だ。「新富士」を通りすぎる時の風景は大パノラマ。通る時の時間や季節や天候で様々に顔を変える。二度と同じ顔を見せない。いつ見てもさすが富士山と思ってしまう。 しかし麓に開けた富士市は大工業都市。パルプ関係のコンビナートが林立する。巨大な煙突から真っ白い雲がモクモク。 この圧倒的なアンバランスが、シュールとでもいうしかない奇妙な美しさを作りだしてる。しかし、今日は曇ってる。いつもあっという間に過ぎ去る風景をたっぷり見ようと思っても、富士山はすっかり雲の中。

 富士の「アニマルハウス」はそんなシュールな街の中にある。どのくらいシュールかって、お店から駅ま片道で約10分の往復(別の道)、20分のあいだに、喫茶店が一軒しかなかった。じめじめした暑さに冷たいバナナジュースが飲みたくて、喫茶店をさがしたのだけど。 やっと見つけた一軒は、結構落ち着いたオシャレな感じの店。手作りケーキまで置いてある。しかし、オーダーを取りにきたのはおじさん、いやおじいさん。(^_^;)ボクはバナナジュースをたのもうとしたのに突然方針を翻し、ベーコンとトマトのスパゲッティを注文してしまった。胃薬も飲まなきゃいけないし。いや実はおじいさんの作るスパゲッティが食べてみたかったんだ。ナポリタンとミートソースしか知らないようなおじいさんがつくるスパゲッティを。メニューの数は20以上。和風だけで10近く。ボクはトマトとベーコンのスパゲッティ、トマトソース、を頼んだ。一番好きなタイプだ。 出てきたのはまさに生のトマトとベーコンが炒められていて、それにトマトソースが絡んでるスパゲッティ。トマトとトマトソースが別々の味と触感で、あんまりしつこくない。なかなかシュールで美味しい味がした。 

 しかし後から入ってきたお客はまさにおばちゃん。オシャレとは縁のなさそうな。あたりかまわず大きい声で、世間話をマスターにすると、ニコニコ一生懸命相手するおじいさんはまるで干物屋の御隠居。そして雑誌棚には「クロワッサン」ばかり。ボクはすっかりバナナジュースを飲むのを忘れて、店を出てしまった。

 やっとライブにたどり着く。サポートしてくれるのは、半分以下の年齢の若いバンド、シンガーばかり。この取り合わせもシュールだ。オーナーのヒロさんがきっとシュールなんだろうな。以前自宅に泊めてもらったとき、朝起きて3階の洗濯干場に出ると、超ワイドで巨大な富士山がドカーンと。コンビナートの煙突の向こうに。こんな風景を年がら年中見ているんだもの。シュールになるわけだ。

  病み上がりのボクはステージで倒れませんようにと願いつつ、無事終了。今日で3連チャン目。さすがにクラクラだ。