発行・ライブハウス/渋谷アピア
アコースティック情報誌 Vol.130 2008.1月号

南正人に繋がるもの
中村敬一

 「縁」という字は、糸辺で書くとは良く言ったもので、ギターを持って早十年、やっとその糸が短くなり始めた事を感じている。
 アメリカで生活中、父が急性白血病により急死した。家業である葡萄園を継ぎ、山梨の山奥で三代目園主として一年間生きた。もちろん、満たされない気持ちのまま。
 野良では毎日音楽を聞いた。高田渡の音でのんびり動き始め、浅川マキのジャズに酔いしれながら日暮れを待った。そんな時、目の前の糸を軽く刺激してみると、思いもよらない人間と繋がっていた。ある日、アメリカに行っていた関係で知り合った農業の先輩から「家で毎年行っている、ホタル見コンサートに出てみないか。」という誘いがあった。「南正人」の前座を頼むと。
 正直その時初めて聞いた「南正人」の名。さっそくウィキペディアを開くと、高田渡、浅川マキと深くヘィェャェ℃が見えた。高ぶる気持ちを抑えながら手に入れた、南正人2冊目の自伝「KEEP ON!」そこからは、旅と自由と音楽と葉っぱの香りが、漂っていた。
 「ホタル見コンサート」当日6月16日は、私にとって忘れられない大切な日となった。川のせせらぎと、ホタルのほのかな日の中、南正人の音に全ての不安が消えたのを今はっきりと思い出す。
 私はその数日後、東京で暮らすことを決めた。ギターケースと数日分の衣を抱え家を出る時、ガンと共に生きる祖父の頬に涙がこぼれた。
 南さんに繋がる糸は、私に不思議な出会いを繋げてくれた。」髓央線に乗りギターを持って出掛けた車中、隣の男性に話し掛けられた。「俺も音楽やってんだ。」唐突に薄汚いカバンから取り出した写真には、その男性と歌う南さんの姿。「南さんじゃないですか!」「兄ちゃん知ってるの!」もうそこから、二人の興奮は収まらない。男性は「今年南から来た手紙だ。」なんて俺に読ませるわ。俺は俺で「ホタル見コンサート」のDVDを渡し、その時の話をたっぷりするわ。目的の駅まで二人は、周りなど気にせず「南正人」の話に花を咲かせた。「俺、明日から精神病院に入院するから、南によろしく。」と言った
最後の言葉には、まいってしまったが。、。、。、。」
つい先日"アピア"で行われた「南 正人ライブ」に東京に出て来てから、初めて足を運んだ。「南さん、出て来ちゃいました。」多くを語らない南さんは、1冊目の自伝「国境の南」にサインを頼んだ俺に、最大のエールを書き入れてくれた。
 「まだまだ、行くんだろ。KEEP ON!」

棟近サトシ 

 反響するピアノの音、ペダルを踏み込む度に伝わる振動、マイクに吸い込まれてゆく声…。アピアのステージに立つと、客席からだけでなく、ステージの遥か上の方から視線を感じてしまうのは僕だけでしょうか?ライヴをする度に身を清められ、生きる道標を与えられているような気がします。自己主張の苦手だった僕でも、少しずつですが成長することができました。そんな中、ひとつのミニアルバムを完成させました。今だからこそ表現できる音を詰め込んだ作品に仕上がっています。子供の頃から抱いてきた想い、未来への期待、そして不安…少しでも共感していただけたら嬉しいです。これからもピアノ弾き語り、バンド活動を通して多くの人と繋がっていけたらと思っています。是非僕の世界を感じてください!
棟近サトシ 1st mini album 「タイムゴーランド」全5曲バンドヴァージョンで収録 定価1,000円 
ライヴ会場・通信販売にて販売中
Official web site MUNECHIKA.biz http://www.munechika.biz/

どらねこ屋


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