発行・ライブハウス/渋谷アピア
アコースティック情報誌 Vol.124 2007.7月号

『CONGRATULATION I'M SORRY』
HUMAN LOST

 どうも、財布の中にお金が残り56円しか無いからさっき部屋中を捜し回って小銭を掻き集めてマイルドセブンを買い、その喜びをひしひしと感じながらも何故だか悲しみに近い感動の波が胸の中に押し寄せる事に少し戸惑いつつも取り敢えず、「頑張ろ」と独り言を言って一息つきこれを書き始めたヒューマンロストです。はじめまして。(訳わかんない書き出しに我敬礼)
 渋谷アピアで歌を歌い始めてはや半年近くが経ちました。時間の流れはまるで80年代のイギリスのハードコアバンドのドラマーが叩きだすビートのような早さで流れていきます。僕はそれに置いてきぼりを喰わないように日々四苦八苦しながらもなんとかやっています。先日アピアの店長からこの原稿を依頼されて以来、僕の頭の中は、一体何を書いたらいいんだろう、とそればかり考えていて、たまの休みに新宿にくり出し旧友と昔話に花咲かせている時も、部屋でひとりで土田世紀の「編集王」を読み、胸に込み上げてくる興奮と感動のあまり思わず目頭を熱くして狭い部屋の中を縦横無尽、右往左往これでもかってくらい転げ回っている時も常に頭の中には、一体何を書いたらいいんだろう、と考えている始末。挙げ句の果てには、曲でも作ろうかなと思ってコンポの電源を消して部屋を真っ暗にして机の上にノートを開いてジッと座ってイメージを膨らましている最中にもその事が頭の中から離れず、これじゃあダメだ、なんともならんよ、止めだ止めだ、と曲作りを諦める始末。という事で、全てはこの原稿を書き終えてからでないと何も手がつけられない状況に追い込まれた自分は、ようやく今こうしてこの原稿を書いている訳です。(苦しみは力なり)
 僕は今、都内のライブハウスや下北沢や新宿の路上等でアコースティックギターとハーモニカだけで歌を歌っています。自分はどうして歌を歌うんだろう、と歌うたいなら誰もが考えてしまう疑問符に対しては強引にシカトを決めて、自分自身が聴きたい曲、聴いて興奮するような曲、真夜中にヘッボホンをしてコンポのボリュームを右にフルスイングして聴いた時に、心がよじれてこんがらがってしまうような曲を作る事だけを考えて日々やっています。理由は自分が聴きたいと思う、お店で決して安くはないお金を出してまで買って聴きたいと思う音楽がそういう音楽だからです。実際自分自身が学生時代にそういう音楽を初めて聴いた時にとても言葉なんかに言い表わせないくらいの感動と興奮を覚え、それ以来少しでもそういう音楽に触れていたくて、自分の好きな曲だけを詰め込んだマイベストMDみたいなものを作って、それを学校の登下校事はもちろん、授業中、昼休みの時間とひたすらそのMDを入れたウォークマンを聴いてひとり興奮していたりしていて、とにかくそういう音楽を聴く事がたまらなく好きだった。好きな女の娘の顔を授業中横目でチラっと盗み見するのも、憧れの先輩と偶然廊下ですれ違ったりする事もひたすら冴えなかった自分にとってはそれはそれで一大事件ではあったけど、当時の自分はイヤホンの中から聞こえてくるそのメロディと言葉には正直もうどうしようもないくらいに心を持っていかれた。今でもたまに時間がある時はそういうマイベストみたいなMDやテープを夜な夜な作ったりするけど、きっと自分は今でもあの時に感じた興奮や感動を何度でも味わいたいんだろうと思う。そして今となってはその中に自分が今作ったりしている曲がそこに入るに値するかどうかが今自分が曲を作ったりするうえで、ある意味一番の命題となっている。自分自身すら興奮させられない曲を他人が聴いたところでそこに興奮や感動があるとは思えないし、それ以前にやっぱり自分が一番興奮したいし自分が一番燃えたい。だから僕は、真夜中だってのに我を忘れて思わず大声で「ウォーーーーーー!!!」と叫ばずにはいられないような、悲しみに暮れている時にはそっと優しく包み込んでくれるような、そんな曲を作りたいと思い、歌いたいと思い、そんな曲がひとつでも多く作れたらいいなと思いながら、日夜ゴキブリのように這いずり回りながら毎日せっせとやっています。もちろん今後も、あまり力み過ぎないように、あまりダラけ過ぎないように、「闘う君の歌を〜闘わない奴らが笑うだろう〜♪」とそんな感じでやっていこうと思っています。(我意味無くも武者震い)
 そして今日もこの原稿を書き終えたら久しぶりにデッドケネディーズでも聴きながらさっきなけなしのお金をはたいて買ってきたタバコを一本、いや二本吸ってから、またいつものようにひとり鬱々とした空気を部屋中に撒き散らしながらああでもないこうでもないと曲を作ろうと思います。
 という事で、長々と書き綴ったこのしょうもない文章もそろそろ終わりにします。最後に僕の大好きなバンドの大好きなアルバムのタイトルを書いて終わりにしたいと思います。(特に意味はないですよー)僕はこのアルバムタイトルを初めて見た時に何故だか思わず涙が出そうになりました。それではみなさん、さようなら。また渋谷アピアで会いましょう。

LIVE=8月12日(月)6:50〜
どらねこ屋LIVE=8月12日、2:00


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