発行・ライブハウス/渋谷アピア
アコースティック情報誌 Vol.124 2007.7月号

めんたいROCK詩人への道

〜番外篇A「危険ですごい武器ひとつ?」〜 恋川春町


「詩人達の手に、危険ですごい武器ひとつ」(ジャン・コクトー)
 上記の詩人ジャン・コクトー(Jean Cocteau 1889-1963)の言葉は、私の主宰イベント【溶鉱炉】の趣旨を説明する際に、好んで引用するものだ。この言葉を読んで、<危険ですごい武器>について、読む人それぞれ受け取るものは違うだろう。というのは、言葉は発せられた瞬間から聖なる物体に変化するから。それはその人一人だけの持ち物ではなくなるのだ。だからこそ、その言葉の解釈には決して正解というものはない。しかし私にとっては、この<危険ですごい武器>とは、他でもない<言葉>であった。
 コクトーの生きた時代。それは二つの大戦に見舞われた激動の時代である。その時代において彼は、「戦いに使われるどんな最新型の鉄砲・ミサイルよりも、ひとりの詩人の持つ言葉こそが、より一層危険で影響力があるのだ」と語っているように私には思える。「ペンは剣よりも強し」である。
 そしてこの現代、詩人達の手にはどんなに<危険ですごい言葉>が握られているだろうか?
 インターネットの普及によって氾濫する活字の洪水。書店の片隅には、まるで学校の教科書かのように賢く聡く納まっているお行儀のよい詩の雑誌。しかしそれらの中に、肉体性のある言葉は生きているだろうか?Rock’n’Rollよりも、Punkよりも、アナーキーで、アグレッシブな言葉は?直接私達の肉体へと働きかけてくるかのような、激しい言葉は?
 本音を言えば、私には見当たらない。そこで私が感じるのは、ただ絶望と焦燥だけなのだ。
 芸術と人間性との関係は、どの時代においても普遍である。例えばアントナン・アルトーはその演劇理論において、直接人間の五感へと訴えかける<残酷演劇>を提唱し、真の人間性の復興を願った。言葉が本来持っていた呪術としての役割を取り戻すことで、五感を揺るがす錬金術的演劇が実現すると彼は言うのだ。(これは現代のヴァーチュアル・リアリティの先駆けとも言われている。)
 アントナン・アルトーが提唱したのが<残酷演劇>ならば、私の目指(夢想)しているものをここで<残酷詩>とでも呼んでみたい。直接五感に訴えかけ、さらにそれを揺るがすような、錬金術的な詩の実現。想像するに、なんて刺激
的だろう!!ある民族の音楽それ自体が呪術であるのと同じように、詩の言葉もそれ自体が呪術へと生まれ変わるのだ!!音楽よりも激しく、肉体よりもより肉体的に、躍動する黒い言葉たち・・・。
 ところで、イベント名である【溶鉱炉】とは、本来は工業の分野で使われる単語である。これは、鉄・その他の鉱石を溶かし、その中の金属だけを取り出す炉のことだ。イベント【溶鉱炉】において、私達の言葉の鉱石は、炉の灼熱の業火に溶かされる。そして金属として取り出されるのは・・・。
 詩人達の持つ言葉が息を吹き返すために。その本来の金属としての輝きを取り戻すために。今日も私は自らの肉体の中で眠る鉱石を取り出して、炉にくべる。炉の炎はまだ消えていない。

★年8月11日(土)
前橋CoolFoolライブ
出演:恋川春町、他
会場サイト

★年8月12日(日)
ARTIST PRESENTS EVENT Vol.5
出演:杉田奈央子、飯田華子、
恋川春町、他
イベントサイト

★年8月25日(土)新井薬師 
スペシャルカラーズ 溶鉱炉vol.10
出演:恋川春町、山崎怠雅、他
イベントサイト

★この他、毎月一度の定例イベント
●セレブ詩人会 第三木曜日
(変更有)
出演:恋川春町、
楠木菊花(お手伝い)、
児玉あゆみ、セリザワケイコ、
福田理恵、
+(ゲスト)今月のいい男

●千石空房朗読会 第一日曜日
(変更有)
出演:恋川春町、山内緋呂子、他



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