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これはまったく奇妙なCDであります!
実のところ、私は一体全体どこからこのCDについて話したらよいものか、
大変に戸惑っております。
シノラマは石塚俊明(perc ds)、坂田さちよ(vo.cl)、坂本弘道(cell)の3人で構成され、
キーボードでロケット・マツが助演している。彼らは私が随分と長い間耳にしなかったようなまったく少しの妥
協もないアルバムを録音したのである。その音楽の大部分は静謐、平穏であり、時として深遠な前衛性さえ感じさせる。
ロックやポップ、あるいはよくあるエンターテイメントの色は少しもなく、くっきりとした、緊張感の
張り詰めた歌と演奏はまるで、不可思議な劇か映画のサウンドトラックを思わせたりもする。混沌とした中に、
あるはっきりとした映像を浮かべることもできる。
この全く名付けようのない、しかし非常に好奇心をそそる、
セミクラシック的、フォーク的な前衛的作品群は確かな心象風景を内に含み、力強いパ−ッカション、日本人
女性の声、精巧なチェロやクラリネットのアレンジが音声スペクトルを満たしている。
残念ながらライナ−ノ−ツが日本語なので私はシノラマの意図については話すことができないが、音楽自身がそれらを十分に語るだ
ろう。
実のところ、私はこのCDを聴くたびにますますこのアルバムの穏やかで明確な非西欧的な雰囲気に魅了
されてしまうということをはっきりと述べておきたい。
風変わりであるがすばらしいCDの発売であり、新しい方向を探究したいというかたがたに薦めます。
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